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根管治療後の根の先の治癒不全

 神経(歯髄)をお取りすればムシバの痛みはなくなりますが、そのあとの歯髄を抜いた根の管には血行がなく免疫の働きが及ばないためそのままでは細菌が繁殖し根の先に炎症をおこします。 根の治療は根管の中を緊密に封鎖して細菌の逃げ場をなくすことにより、からだのもつ自然な組織治癒を期待する施術です。 歯根の破折や歯周病でもないのに歯肉が腫れる、噛むと痛むような場合歯髄を取った歯の治癒不全が疑われます。

根尖付近のイメージ

  細菌で汚染された歯髄が残っている場合、噛むと違和感があったりムシバのように急に痛み出すこともあります。 時間がたつと腐敗し根の先に病巣をつくることもあります。   根の先まで緊密に充填材がは入りきれてない場合,根管の中は腐敗し細菌の温床となります。 あごの骨を溶かし病巣(根尖病変)ができ、膿がたまれば歯肉が腫れてきます。 疼痛もあります。 

複雑な根管の感染根管治療(臨床例)

 

 レントゲン写真では充填に問題ないようでも病変が存在するような場合は複雑な根尖部に応じた根管拡大と充填法が必要となります。(左図;治療前、右図;1年後治癒像)


 根側面に分枝があり病変がある場合は、側方への注入圧で根管充填をする場合もあります(右図;10年後写真;余剰充填材は消失しており、隣接歯は完全な自然閉塞があり問題はありません)。

 下顎の第二大臼歯でよく見られる根尖での根管開孔部の集中。

 根側面に顕著な骨吸収があり抜歯の対象も考えれれるが、補綴的な見地から保存された第二大臼歯。 元来、根尖病変由来の骨吸収なら根管治療のみでも骨修復がおこなわれる場合があるが、陳旧性で根面の汚染と排濃があり、根管治療のみでの垂直的骨の回復は不可能と判断される。 人工骨は当時主流のハイドロオキシアパタイト顆粒を欠損充填に利用。 (左2枚目は金属コア試し入れ時。 根尖部で再度根管を追求しあらためて充填。 右端は13年後、歯肉部に一部顆粒が含まれるも歯周ポケットは正常値で出血排濃なし。 )治療終了16年後の現在も良好に経過。

 根の先の病巣(病変)は基本的には本来の神経(歯髄)の管と、治療のため便宜的に拡大した空洞を充填材で緊密に封鎖できれば、細菌の生息場所がなくなり自然に治癒に向かいます。 しかし再治療においては根の管の閉塞部や穿孔部の存在によって患部への追求が不可能のため確実な治癒がえられない場合もあります。 臼歯部位では3本の根の1本が治癒不全なだけで不快症状が解消しきれず、繰り返しの治療も無駄になることもあります。 以下のページには治療の困難な根の管の状態を示していますが、実際はこれらの組み合わせによりさらに問題を複雑にしている場合も認められます。 このような状況では歯の内側からの保存的治療には限界があるため外科的に直接患部の病巣を取り除く治療として、根尖切除療法や歯牙再植治療(一度抜歯して根の先を処置してまた元にもどす)をおこなうこともあります。 やりかえの根管治療はいずれにせよ治癒率が下がるのは当然です。(再根管治療の難易性) 

 なお最近では、治療用レーザを応用しストレートの根管なら根尖部の殺菌や乾燥に効果が得られてきましたが(最新のエルビウム・ヤグ レーザには根管治療に特化したチップがあり今後根管滅菌の飛躍的な向上が期待されます)、ほかにも治療用マイクロモータに取り付けられる根管拡大用の柔軟な小切削器具(ニッケルチタニウム系のファイル)が開発され、やり換えでも根尖が穿く場合には非常にシステム化された治療が可能となってまいりました。 また治療用マイクロスコープも一部に導入が始まり前方歯群の単純根管には非常に有効とされています。 しかしながら、湾曲根管を含めもっとも成功率が低くアクセスの困難な上下顎第二大臼歯や、ひとつの根(頬側手前の根)に2根管も多い上顎の第一大臼歯にはミラーテクニックが必須なうえ、ラバーダム使用時に術者の手指・器材が視野を遮りやすく、根管の視認以上の処置にはまだまだ適用が難しいようです。 微細作業も可能な簡便なファイバースコープの開発が待たれます。
 なお、マイクロスコープを使ってもラバーダムを使用しても、感染根管においては感染源である原因根管への追求が不可欠であり、十分な経験と繊細な手技が伴わなければ問題が解決されるものではありません。 ハセツの発見や外科的治療をのぞけば、マイクロスコープ普及以前にも歯内療法の名人達は道具に恵まれた現代の駆け出しの臨床家より緻密で優れた治療をしているのです。

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